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資産形成日記。医療知識の整理。

排尿困難について。泌尿器科以外の医師が診るとしたら?

研修医に排尿困難について講義をする機会がありました。

このブログでも紹介させてもらおうかと思います。

「研修医が救急外来で尿閉に出会ったら?」という視点で書きました。

 

泌尿器科以外の医師でとりあえず押さえるべきポイントは以下の2点だと思います。

  1. どこで尿がせき止められているのか(もしくは、産生されていないのか)を把握する。
  2. 尿閉や残尿が多い場合は、尿道留置カテーテルを挿入する。

 

1についてはエコーである程度判別できます。

2については、挿入のコツがあります。

順に説明していきます。

 

尿量が少ない(乏尿なら500ml/day以下)であれば、まず患者さんの症状を確認しましょう。

腰背部の叩打痛(CVA tendereness)があれば、水腎症の存在が疑われます。

下腹部の膨隆や切迫する尿意があれば、下部尿路(膀胱や尿道)の障害を疑います。

血清クレアチニンを測定して、腎不全の有無も確認しましょう。

 

なにより、尿流がどこでせき止められているかを判別するにはエコーが有用です。

以下の3パターンで分類しました。

 

A. 水腎症なし かつ 蓄尿なし ⇒ 腎臓より手前が原因(腎性腎不全もしくは腎前性腎不全) 

 

B. 水腎症あり かつ 蓄尿なし ⇒ 水腎症のある側の尿管の障害

 

C. 蓄尿あり ⇒ 下部尿路(膀胱・尿道)の障害

 

Aの原因としてよく出会う病態は、脱水や薬剤性の腎不全(NSAIDsの乱用)でしょうか。

 

Bに関しては、尿管結石が多いですかね。

片側の結石だと、もう片方の腎臓から膀胱に尿は流れるはずなので、

機能的に単腎だったりすると尿が膀胱にまで流れない状態になります。

 

Cの病態が、今回のテーマ「研修医が救急外来で尿閉に出会ったら?」で一番適切に対応してもらいたいところです。

Aは内科的な対応で事足りますし、Bは結局のところ泌尿器科の専門的な治療(尿管ステントや腎ろう増設)でないと解決しないからです。

Cの病態であれば、原因疾患がなんであろうと、尿道留置カテーテルを入れさえすれば、とりあえずその場をしのげます。

 

ただ、「尿道留置カテーテルがどうしても入らない」という相談をうけることがよくあります。

次回は、挿入困難例に尿道留置カテーテルを入れるコツをまとめようと思います。